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VSLに魅せられて

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2012年 02月 18日

機関車トーマスに見る日米の危機管理意識の差、あるいは「そんなのどうでもいいからこの歌を聞け」

朝っぱらからこんな動画みてました。

機関車トーマス:じこはおこるさ
【ニコニコ動画】【クラッシュ】きかんしゃトーマス「じこはおこるさ」【連発】

色々とすごいです。この歌。

まずサビで「事故は起こるものさ」と連呼するこのセンス。
しかもバックでは延々と機関車たちの事故映像。結構ホンキで痛々しいですよ。
明るい曲調、深刻な事故。しかも連発。いや、怖いです。
何よりヤバイのはこの歌、このPVが公式のものであること。
何考えてんですかスタッフ。顔のある、喋る機関車たちの番組でこんなもの作って見せるなんて。
こんなもの子供に見せられたら、最悪トラウマですよ。

とか、ひとしきり考えながら(爆笑がほとんどですが)見てると、YouTubeでこんなコメントを見つけました。


戦艦のダメージコントロールとか、OSのセキュリティーパッチな-んかも米英人的な発想ですね。
日本では言霊信仰とというか、ケガ-レの意識というか、事故なんて考えてはイカン、縁起でもないみた-いな発想がまだ根強いようです。
だから、100%安全というあり-得ない建前になってて、事故は皆「想定外」なので起きたらお手上げ。


確かに。
事故は起こるもの。
予防に努めるだけ手はなく、起こった後のこともちゃんと考えておかないといけませんよ。と。
だとすると「こんな歌放送するなよw」とか反応してしまうのも極めて日本人的なのかもしれません。
むしろ子供のうちからこういう歌を聞かせておくことで、ちゃんと「想定外」に対して備える心構えを作っておく。
そうした教育が向こうではメジャーなのかもしれません。

そして、そんな視点でこの歌の歌詞、特に元の英語版を聞いてみて比較するとまた違った印象が得られます。
【ニコニコ動画】きかんしゃトーマス~じこはおこるさ(英語ver.)
英語詞:
Accidents happen now and again sometimes just by chance You gotta pick yourself up and dust yourself down Put it down to experience
(適当直訳: 事故は時おり偶然起きる そんな時は立ち上がってほこりを払い 自らの経験としよう)
日本語詞:
事故はほら起きるよ 突然さ 運がないときは しょうがない なんとかしよう

歌詞の訳なので、音韻とか文字数とかの都合があるにせよ
Put it down to experienceと事故から学ぶことを言っている英語史に対して「なんとかしよう」の日本語詞、というのはひどく対照的です。
そもそも事故後のことを語ってないわけですから。

別の箇所でも
英語詞
The warning signs are there for us to see most of the time
But sometimes we take care chances ignore the danger signs
Fate can surprise you with no reason or rhyme
Make sure you learn your lesson
You'll know better next time
(警告の標識は大抵そこにあるのに 時々危険な標識を見逃す 運命は理由も前ふりもなくあなたを驚かせる ちゃんとそこから学べば 次は大丈夫)

日本語詞:
標識はいくつもあるのにさ 大事なものばかり見落とすね そんな時必ずやってくる 二度とやらなければいいけど

とかなってて、事故後についての語り方が全然違います。事故前にちゃんと備えよう、というのはどちらもちゃんと書いているのにね。
同じ歌詞の訳でもこれだけ違いがあるのですから、他については何をかいわんや、です。

とかいうことを考えてくと「こんな歌放送するなよw」とか反応してしまうのも極めて日本人的なのかもしれません。
むしろ子供のうちからこういう歌を聞かせておくことで、ちゃんと「想定外」に対して備える心構えを作っておく。
そうした教育が向こうではメジャーなのかもしれませんね。
どっちが絶対的に正しいとかはないんでしょうけど、自分たちももう少し「もし」な事態が起こってしまった後のことについても考えておくようにしたほうがいいかな、とかそんなことを思いました。

by yusatoku | 2012-02-18 11:29 | コラム


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